手紙

 午後3時まえ、晴天。気温27度。幾分風はあるが、やはり暑い。まだ春だと思っていたが、先日の32度の気温といい、今日の気温といい、右籾でも、もう初夏を感じてしまう。暑くて頭痛がするので部屋では冷房を入れている。このあいだ、深夜に暖房を入れていて、今度の昼間の冷房で、躰は忙しいばかりである。

 先日、未知の方よりメールでお便りを頂いた。私の木版漫画「或る押入れ頭男の話」をお読みになって、それでお便りをくださったそうで、兎に角、嬉しかった。木版画が売れるよりも嬉しかった。あまり嬉しかったので、久しぶりにたくさん文章を書いた。私の場合は、一度紙に手書きして、それを妻が校正しながらパソコンで文字打ちをして送信するようにしている。勿論、私もパソコンでの文字打ちも不得意ではないが、あえて妻に打って貰っている。

 こうやって紙に万年筆で書きつけてゆくと、なんとも言えず気分がいい。いろいろと不経済であるが、無駄と思えることこそ快感がやってくる。

 手紙を書いていると、まだ私も、それほど捨てたものじゃないのかもと錯覚できる。手紙を出す相手がいることで、ほとんど引き籠り状態である現状が改善してきているのではと思える。日本には、いま各世代で約100万人の引き籠り者がいるそうだ。一説によると専業主婦まで引き籠り者に数えているらしいので信憑性は疑わしいが、兎に角、現代日本にそれだけの数の引き籠り者、窮乏者がいることである。これは由々しき事態であり、早急の改善が望まれるが、なにしろ各自の複雑に絡まった状況を個別に打開するのは容易ではない。と云うより、結局のところ緩慢に事態は悪化し、気づかぬように崩壊に向かってゆくのだろうと思う。