俳句三昧から

 午後0時すぎ、晴天。わりあい暖かな午后である。起き抜けに、空腹を覚えて焼きそばを3人前をつくり、1.5人前を食べた。この頃は、宿痾の如き自律神経の失調により足腰に不調があり鬱陶しいかぎりである。
 併し、そう云うなかではあるが俳句づくりにも凝っていた。この17文字と云う文字数限定の世界最短の詩は案外愛好家数が多くて、現代詩の停滞にくらべて盛んである。多少、年寄くさい趣味的文芸ではあるが、夏目漱石にしろ芥川龍之介にしろ多少なりとも首を突っ込んでいるところをみると、まるでつまらないと云うことでもあるまい。
 私の場合は、俳句づくりと云っても花鳥風月に心をおどろかす類いのことは殆んどなくて、もっぱら種田山頭火や尾崎放哉の如き世の中を、または人生を嘆き恨んでいるふうの詠嘆の俳句に興味があり、もしも私がホームレスだったらと云うような俳句を作っている。俳句は普通、自分の心情、境遇、感覚を詩にするものであるが、今度私が作ったものは、もしもの世界の俳句である。まだ句集刊行になっていないが、「東京路上生活」という銘の句集を想定している。一年を通した心情を俳句にしようと思っているので、まずは1月の元旦からである。いくつかの俳句を掲載してみたい。
 〔元旦や 昨日のつづき 明日もまた〕
 この句は、ホームレスとしての取り立てて変化のない平坦な生活を描いている。
 〔元旦や 炊き出しもない 日本晴れ〕
 この句は、支援団体が無料で提供している食事(炊き出し)も元旦では休みになっていて、併し、良く晴れた天気と炊き出しのない風景を対比している。
 〔元旦や 蛇口の水も 凍りつき〕
 この句は、厳しい寒さに見舞われた公園の水道蛇口も凍りついて水が出ず、路上生活者の厳しい一面を映し出している。また、そのほかに、
 〔懐手 街さわがしく 初荷かな〕
 福寿草 ながめていても 腹は鳴り〕
 〔春寒や 缶で燗酒 こもりゆき〕
 〔靴破れ 春寒のなか 西ひがし〕

 まだまだ、たくさん句はできているが、順次掲載していきたいと思う。