「蜘蛛の糸」下描き原稿完成

 午前7時半、雨天。気温摂氏22度。台風16号の影響で、ときおり風が強い。
 23日から本格的に木版漫画の冊子の制作、猫の木版画の営業活動を開始した。ほとんど三年ぶりの活動である。今度はいよいよ背水の陣で臨まねばならない。もう、あとがない感じである。
 木版漫画「蜘蛛の糸」は下描き原稿で20枚完成した。案外、枚数がいかなかった。下描きで9日間、1日休んだので、実質8日間であった。1日あたり2.5枚である。遅いような気もするが、今回は特に、わが人生で一、二を争うような体調不良のまっただ中に、よくもできたものだと感心している。人間やれば、できるものである。
 太宰治著「走れメロス」を再読。今度で何度目であったろうかと思うが、読んでみると細かい部分をすっかり忘れていて、こんな話だったのかと、感心したり、訝しく思ったりしている。この作品の木版漫画化を考えてみたが、沈思黙考、暫し保留とする。
 余程随分前より、芥川龍之介著「羅生門」を木版漫画にしたく思っているが、躊躇する部分がある。この話、実はホラー作品で主人公の下人の心の変化が作品の主題になっているが、作品全体の風景は怪奇小説である。であるので、不評をかいそうで足踏みである。併し、羅生門の建物や、どしゃぶり雨が甍に打ちつけている絵を描いてみたいと思っている。