喋れない時世

 午後1時半、曇天。室内気温28度(窓をあけた状態で)。韓国紙(和紙のような紙)にドーサと糊をひく。

 俳優の香川照之が、銀座の飲み屋で女性従業員の下着(ブラジャー)を抜き取ると云う性的暴行をはたらいたことで、世間から吊し上げを受けている。また、性的ではない、女性従業員の髪の毛を手で掴んでいる写真が出回り、暴力行為も問題になっている。香川は普段から酒癖が悪く、東京の飲み屋街では悪名が轟いていて、弁護のしようがない。ただただ香川が悪く、女性従業員には非はない。

 併し、不思議なもので、芸能人のなかには香川を弁護するような言説を唱える者があとを絶たず、これらの者たちも、即座に、すべて否定され、断罪されている。香川の所業にたいしては、なにを言っても、とばっちりを喰う。

 以前の、大相撲の世界のように、暴力問題、大麻問題、賭博問題、八百長試合問題などの、悪いことは悪いこととして膿を出し切る以外にないのかもしれない。香川を擁護したい人たちは、結局、自分自身の悪辣な所業を肯定したい者たちであり、今の時代に合わない前時代の人たちで、彼らに時代を合わせることは出来ない。悪い昭和時代の風習は、綺麗さっぱり洗い流さないといけないだろう。・・・併し、綺麗に洗い流したあとに、どんな時代が来るのか。楽しみのような、不安のような気のするのは、私だけであろうか。