中野クラシック

 午後4時、晴天。室内温度20度。風がつよい。マキコはひとりで中野の喫茶店「クラシック」の後継店「ルネッサンス」に行っている。この店は高円寺にある。店内は、「クラシック」同様に食べ物の持込みは自由で、メニューはコーヒーとジュースのみである。店内の、装飾は「クラシック」のものを引き継いでいてテーブル、椅子、木製の手摺も当時のものである。
 私の18日から25日までの一週間は、ただ部屋に閉じ籠って木版漫画の冊子の製本を継続していた。「唐傘奇譚」を段ボール箱でひと箱分完成させたが、この冊子はまだ200冊分ぐらいは製本が手付かずである。それから「蜘蛛の糸」の製本も残っていて消化しなければならない。
 加齢によるものかビタミン剤が手放せない。殆んど常用しているが、原因は繰り越しになる疲労である。50代と云うものが、これほどまでに元気のないものか、または私だけが元気がないのか不明だが、とにかく軀が始終疲れやすくて仕方がない。舌や口のなか、歯茎が痛い。頭皮が痛い。頭皮がつっぱる。軀のあちらこちらが点滅するように神経痛がでる。もはや人生の終末を感じている。・・・いやいや、案外これからが本当の人生の始まりなのかもしれないと一方では感じている。ここからが、味のある人生のはじまりなのかもしれない。