明治の手紙

 午後6時半すぎ、曇天。気温16度。若干肌寒さを感じる夕暮れである。珍しい物を入手したので、紹介したい。明治時代初期の郵便はがきである。

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 これは日本で最初に発行された葉書で、明治6年12月1日が発行日である。掲載した葉書は明治7年10月24日の消印が押されているので、葉書が開始されてから約1年ほど経ったときの物である。葉書は、宛名、手紙の文章ともに崩し字で書かれているので、ほとんど判読できない。今の時代でも書道をされている方は読めるのかもしれないが、私は残念ながら読めない。併し、また読めないから良いのかもしれないと、思わぬでもない。少しづつでも、読んでゆこうと思う気持ちが出てきているのが良いのかもしれない。まぁ、明治7年に手紙を書いたとしたら、この手紙の主は江戸時代に生まれ人にちがいない。江戸時代の人が書いた文字なら読めないことがあっても不思議はない気がしている。

 葉書は、銅版印刷によるもので、刷りむら、カスレ、インクにじみが激しい。それが良い味になっている。そして、葉書の飾り縁や罫線が時代の勢い、喜びを伝えている。それから、見開きには「規則」が明記され、細々と葉書を書く要領などが記載されていて楽しい。郵便事業開始時の気負いを垣間見るようである。

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 葉書は、今では往復葉書としているものが採用されている。この「二ッ折はがき」は、その後、現在の葉書のような体裁のものが2年後には採用され無くなることになる。