模型製作

 24日、午前2時すぎ、曇天。23日の、東京の日中は、たいへん暖かであった。気温摂氏12度〜20度であった。併し、私は、その間は熟睡していて、暖かな一日の実感もない儘すごしてしまった。そして、日付が変わる頃にむけて、深夜の買物にでかけた。早稲田通りを西に向かい、歩いて10分もしないスーパーマーケット「イオン」である。日頃の運動不足解消を狙っているが、あまりに近すぎて運動にならない。ただ思い荷物を両の手で、かわるがわる持ち替えて腕の筋力を鍛えていると思い込みたいところである。
 木版漫画「羅生門」の制作は割合順調で、今のところ16枚目の下描き原稿を進めている。併し、16枚目を3分の2まで描いたところで、手が止まった。小説では羅生門の天井裏が出てくるが、その天井の構造が確かには判らなかったのである。ネットを使ってあれこれと調べてみるが、あまり成果は芳しくない。ネットの中で唯一の設計図らしきものを参考に天井の梁や屋根の部材を割箸を使って模型をつくってみた。

▲割箸を鋸で切って、接合にホチキスをつかった。
 上図の物を8個つくって、それを間隔をあけて並べて繫げて模型としたいが、あいにく手許にそれほど割箸がなくて作ることが出来ない。仕方がないので、ほかの方法を考えるが・・・。
 14枚目、15枚目の原稿で、今回とおなじように簡単な模型をつくって原稿の参考にしたが、そのときは割合すんなりとうまくいった。

▲段ボール紙を細工して模型とした。
 上図の段ボール紙製の模型をつかって下の図のコマ絵を描いた。

▲この下描き原稿から版を彫って版下原稿をつくってゆく。

▲このコマ絵も段ボール紙製模型を参考に作画した。
 「羅生門芥川龍之介原作に対する考察を、私なりに少し書いてみたい。
 漫画化するにあたって、いろいろと資料を調べなければならないのは勿論、私なりの見解を差し挟まなければまったく作画できなかった。まず私が作画を逡巡したのは、下人の服装である。紺の襖(あお)とあるが、これは立派な衣装で下人の持ち物としては妙な気がする。また下人は聖柄の太刀を腰に佩びているとあるが、これも下人の持ち物としては変である。身分不相応の恰好に、私は最初作画できずにいたが、考えを深めていくなかで、これらの品々は仕事を解雇された際の退職金ではなかったかと云うことである。そう考えると辻褄が合う気がする。であるので、聖柄の太刀は、木地のままの柄ではなく、三鈷柄(さんこづか)としたい。三鈷柄とは、不動明王が手に持っている太刀である。これは、本来仏具であるので、太刀としての機能は期待できない。また、主人から下賜されたが、こんなものを渡さなければならぬほどに主人の経済状態も疲弊していたと察せられる。