再び木版漫画制作へ

 6日、午前1時半ごろ、曇天。室内気温摂氏25度。木版画「ばら園」の手刷り作業を継続しているが、中腰作業で腰を痛めて今日は頓挫している。齢50をこえて、すっかり軀が弱くなったようで、一日に出来る作業量が極端に少なく限定されている。少しでも制限を超えて作業をすると、肩腰がひどく凝ってしまって、全身の血行不良を引き起こし、手足が痺れ、またそう云うときは就寝時でも脳髄への血流が滞るようになって酷い動悸と共に飛び起きることになる。・・・と、云うことなので軀と相談しながら作業をしている。
 木版画の刷り作業が連日出来ないので、その間は木版漫画の下絵を描くことにした。以前から中島敦の「山月記」が気になっているが、今回は梶井基次郎の「檸檬」の下絵を描いている。この短篇小説の舞台は日本の京都の大正時代から昭和初期頃であるので、私としても興味のある時代なので遣りやすい。併し、実際鉛筆を握ってみると、意外と筆は走っていかない。それは、おもに木版漫画が即売性のある、換金性高い仕事ではないことが関係しているようだ。私のところはとても貧乏なので、毎日懐具合と相談しながら創作しているが、そうそう霞ばかりを喰ってはいられない、と云うことである。「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた」と檸檬の冒頭にあるが、私の気分もほぼこれと同一である。
 「過去に気になって物たち」を掲載する。今回は、江戸時代の財布である。

▲留め具に鹿の角らしき物が使われている。

▲財布を開くと織りの美しい裂が出てくる。
 お宝自慢のようになってきたが、またつづく。