墓石について

 午後9時前、曇天。気温摂氏22度。若干湿気を感じる陽気である。今日、正午前に伊豆に暮す父親から電話があり、突然、墓碑の書体を変更したかどうかと訊いてきた。私は起き抜けの電話であったため俄かに返答に窮したが、兎に角、私は変更していないと言っておいた。
 墓石の建立はたしかに進めていたが、墓石の開眼供養と云うものは、まだ10月末のことで、今は間がある。どうも父親の話では、先程墓所に行き、出来上がった墓石の書体を見て気に入らないと云うことらしい。併し、石に彫られたものはどうにもならない。気に入らぬと言われても、私はただ80才をこえた老人の不平を聞くしかない。とかく物事は自分の思うようには進まない。私にしてみてもそんなことの連続の人生で、80をこえた老境ならばと思わぬでもないが、その先は言えない。