真鍋新町の蓮田

 午後11時半まえ、曇天。室内気温25度。土浦市の真鍋新町は、夜中だと云うのに、暑い。昼間は、もっと暑く、28度はいっていた。

 家賃2万円のアパートのまえには蓮田が広がっている。蓮田と言っても、沼のように水を湛え、水深の深い水田のような塩梅である。

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 この緑色の、美しい葉の下には、やがてレンコンが育ってゆく。併し、真鍋新町は、はっきりと街中である。近所にはスーパーマーケットがあり、また大きな建物に囲まれて、取り残されたように一枚だけある蓮田は、まるでアパート専用の水生庭園の趣である。この蓮田には、ときおり白鷺が佇んで餌取をしていたり、番いの鴨が水草をはんでいたりする。優雅な、枯淡な味わいの、一幅の絵画を想起させる景色である。