花田清輝とスピノザ

 午前7時過ぎ、晴天。気温摂氏2度。いよいよ冬である。夜更かしして、と云うよりは午前0時ごろの起床であるので、まだ私にとっては昼である。花田清輝著の「復興期の精神」を読んでいたらスピノザの名前が出てきたので、図書館へゆき「エチカ」上巻を借り受けてきた。ページを開いてみる。私の読解力不足のためか、書いてあることが判らない。ところどころを判りそうな部分もあるのだが、やはり全体を通して判らない。判りにくいことを、判りやすいように書くのが、よい文章であると、どこかに書いてあったが、これは、その逆の印象がある。中村文則著「土の中の子供」を読んでいる。たいへん暗く深刻な精神状態の物語であるが、ほんとうは経験していないだろうと推測してしまう小説で、苦悩する表現が空回りしているふうである。ほんとうに殴られた者でないと判らない部分が、やはり抜けている。併し、この作家の小説は何冊も気になって読んでいる。勿論、昨今の凡百の小説には比べるまでもなく秀作揃いであるので、一読を勧める次第である。吉本隆明著「老いの超え方」をすこし読む。老境を忌憚のないふうに喋るのは貴重である。また、あらたな開拓になりそうである。
 それから、試作の小説100枚を脱稿した。ひさしぶりに書いたが、漢字を原稿用紙に書くのに辞書とにらめっこである。