夜行10号

 26日午前0時半すぎ、曇天。気温摂氏21度。先日、阿佐ヶ谷の古本屋で「夜行」をみつけた。随分めずらしいものがあるなと思い購入した。400円であったが、定価が1200円で昭和56年の刊行であるから当時の物価から考えて安いのかどうなのか判然としない。すくなくとも希少性はないと判断されているようで寂しい気がする。本はハードカバーのしっかりした造りで、つげ義春氏の蒸発旅日記が掲載されている。また、菅野修氏の作品もありほほえましい。
 併し、今この時代にあって「夜行」を手にとり読まねばならぬ精神状態はどうであろうかと思う。窓外では反原発集会が何万人規模でおこなわれ、不景気で物は売れず、給料は下がり続け、わたしの体調も再度崩れだしている。明日は、また病院にゆかねばなるまい。飯喰う金を薬代にしている按配である。・・・そういえば、こう云う具合のわるい状態こそ「夜行」的であるかもしれない。気持ちや状況が落ち込んでいるときこそ「夜行」であると言える。気持ちに寄り添ってゆくのだろう。