木版画制作続行

 午前1時半前、晴天。と言っても、なにぶん夜中であるので晴れているのか曇っているのか判らない。
 薬の副作用で萎えた足腰は幾分恢復傾向にある。併し、元気な頃にくらべて5分の1も恢復していない実感である。であるので、相変わらず遠出はできない。
 木版画「ばら園」の彫版作業は1日おきぐらいで続行している。どうも以前とちがって彫版作業に集中できていない。多色刷りの版を彫っていると版数が多いと云うこともあるが、彫版作業が絵を作っている感覚ではないことが集中力を欠かせる原因らしい。これは喩えて言うと、役者の場合では、舞台では芝居が時間の流れのなかで続けて進んでゆくが、映画だと時間はぶつ切りになって芝居は流れを失い、役者はカットごとに物語りを想像しながら芝居をしてゆく。そう云う映画づくりのようなぶつ切りの感覚が色彩版画の彫版作業にはある。私は彫版作業をするときは主観を大切にした感覚的な彫版を心がけているので、単色版の彫版はいいが多色版だと集中力が低下してきわめて難渋をするようだ。併し、そうは言っても出来上がりの版画を想像しながら挫折しないように静かに作業を進めている。