椿の花

 午後4時前、曇天。気温16度。今にも降りだしそうな空模様のなか散歩に出た。天気予報では降水確率は0〜10%なので、傘は必要なさそうである。併し、肩掛け鞄の中には常時、折り畳み傘が入っている。
 八雲荘の部屋を出て、早稲田通りをすこし歩くと歩道沿いに、トウカエデの街路樹の脇に、椿の灌木はある。行政ではなく誰かが植えたものらしい。私は23年間この土地に住みついていたが、今回はじめて椿の木を認識した。勿論、近所の歩道なので何度もそこを通っていたが、気がつかなかった。

排気ガスを撒き散らす車道のよこで、椿の花びらが輝いていた。
 椿の花の愛玩は、とくに江戸時代の、将軍徳川秀忠がはじめ、それが庶民にも広がって「椿花図譜」も記された。