読書の夜

 午後0時すぎ、曇天。気温摂氏23度。台風16号は通過して、今は東京も穏やかである。
 このところ夜になると読書をしている。昨夜は「改造」昭和6年11月号の「東京暗黒街探訪記」葉山嘉樹、里村欣三著を読んでいたが、このルポルタージュはゴーカイ屋と言われる街娼を取材したり、またルンペン(ホームレス)の生活事情を詳細に伝えていて読みごたえがあった。そして、「富川町から(立ン坊物語)」里村欣三著や「日立鉱山事件入獄記」麻生久著を読んでいる。「日立」は大正8年当時の獄舎のようすが詳細に語られていて読んでいるこちらまで軀が冷えてきたり悪臭に悩まされてくるような気がしてくる。獄中記はいつの時代のものでも興味深く読めるが、併し、獄舎の様子の、なんと非人間的なことであるか。懲罰の意味もあるのかもしれないが、獄舎に身を置くだけで充分人間不信になりそうである。