活版印刷復活 !?

 午後6時半前、曇天。気温摂氏8度。22日の午前2時頃就寝して、午後5時頃起床。一度も起きずに15時間も寝たことになる。近頃では、こんなに長く寝たことはなかった。
 ネットのニュースでは、活版印刷を復活させる若い女性の記事が出ていた。私の近所でも活版印刷をあらためて始める人たちが出てきている。
 たしかに活版印刷は、印刷の世界から姿を消して久しい。今ではオフセット印刷が主流で、版のないオンデマンド印刷が手軽で安価で早い。
 私も、活版印刷はまえから好きで、25年ほどまえから活版で印刷された古書を買っては活版印刷の味わいを楽しんでいた。そして、10年ほどまえには中古の小型活版印刷機を購入して、活字印刷ではなく樹脂版をつくって版画や封筒を印刷していた。この度、若い人たち活版印刷に興味を持ち、復活させてゆく機運はありがたいと思う。
 今では活版印刷はすっかり廃れたが、実は昔、印刷の業界には今では絶滅した銅版による印刷もあったのである。木版印刷は日本の場合では、江戸時代に浮世絵などが盛んにつくられ馴染み深いが、日本にも短い制作期間であったが銅版による出版物があった。今日は、それらを紹介したい。

▲細い流麗な文字が銅版で印刷されている。


▲文章のページのあいだに挿絵があり、それも銅版による印刷で描かれている。


▲書物は和綴じで、袋ページの内側には廃棄になった活版印刷の反古紙がはさんである。銅版印刷と活版印刷が併存していた時期があったことを知らせる。


豆本のような小型の書物の表紙は型押しの模様がある。(書物のサイズ 縦120ミリ×横90ミリ)


▲雲竜の型押しが確認できる。


 また、他の書物に「詩学必携」がある。
 この本も素晴らしい造本で、保存状態もすこぶる良い。新品の状態で販売当時のカバーも残っている。

▲書物のカバーは銅版で印刷されている。(書物カバーのサイズ 縦153ミリ×横262ミリ)


▲繊細な線描で表現されていて、当時の職人の水準の高さが窺える。この画面は、実際のサイズは縦20ミリ、横10ミリで小さく、文字のなかに描かれている横の線は肉眼で確認しづらいほど細い。


▲書名も銅版印刷で、こちらは「詩学必携」の篆書の文字を縦と横の線描をかさねて描いて文字をつくり、メゾチント画面のようなニュアンスを出している。


▲書物の本文ページである。75丁ある。(全150ページ) 文字はエッチング(腐蝕描法)またはエングレービング(ビュラン刀による直接描法)で書かれている。


▲奥付のページに明治12年4月出版とある。編者は東條保とあり、士族とある。また、出版人は亀谷竹二、こちらも士族である。発行人は石川治兵衛、平民の記載である。明治維新からまだ12年しか経っておらず、まだまだ前時代をひきずっている感じがある。

 これらは私が、以前入手したものであるが、すばらしい書物で、これらが日本でつくられていたことを誇りに思う。先人達の本づくりにたいする気概は、いま現在の日本にはないものである。併し、その気持ちをすこしでも受け継いでゆきたいと念じている。