対談をする

 午後8時半すぎ、曇天。気温摂氏26度。いくぶん涼しくなった。20日は阿佐ヶ谷の「よるのひるね」で南伸坊氏と2時間半程対談をさせて頂いた。私にとっては、実際対談をしてみると感慨もひとしおである。まず、阿佐ヶ谷の地で対談をしたことは意味深いように思えてならない。私は23才頃から阿佐ヶ谷に住んでいたが、その頃は、今よりももっと生活に困窮して、世の中はバブル景気であったのに、それこそ食うや食わずの生活が3畳ひと間のアパートで3年余りも続き暗澹たる日々を送っていた。その頃、「よるのひるね」の在ったところはバーがあり、私はその路地も時折徘徊していた。当時、うつろな目で眺めていた街で、まさかこのような展開をしていくとは考えにくかった。併し、現実である。
 対談では、まさに有意義で楽しい時間を過ごさせて頂いた。南伸坊氏の含蓄のあるお話しは一読の価値が充分にあるので次号アックスの御購読をお勧めする次第である。
 それから、対談では話のながれで「ご意見募集」のご意見に充分に答えられていないぶんをお答えしたいと思います。
 作品を制作する際、一番大事にしていることは、まず、私が好きだと思っていることをすることだと思います。嫌いなこと、意に沿わないことはしないと云うことだと思います。
 今までに影響を受けた作品や現在気になっている作家、これからの方向性などについては、猫の漫画関係の作品では影響を受けたことはありません。併し、絵を作ってゆくと川上澄生の版画の太い線に似ているなと思うことがあります。感性が似ているのかもしれません。谷中安規、川西英は好きです。併し、私の感性とは若干ちがいます。
 絵画での影響ではありませんが、坂口安吾に強烈に心酔していた時期がありました。また、太宰治檀一雄中原中也の名前は忘れることができません。漫画家では、永島慎二氏、つげ義春氏、つげ忠男氏、安部慎一氏もわすれられません。
 音楽は、私はほとんど判らず、お話しできることはありません。ただ、ヤフーオークションで安価で数枚買った坂本龍一氏のCDがあるぐらいです。
 寺山修司土方巽に関心がありました。現在気になっている作家は、古い友人の福澤徹三氏の小説の仕事が今後どのように展開していくのかぐらいで、他にはありません。
 自分を含めて力不足の不在の時代を感じています。