私のいない世界

 18日、午前6時前、晴天。気温摂氏1度。夜型生活になっている。
 そう云えば、うっかり25年以上もながい間、遺書を書くのを忘れていた。物づくり世界に居ながら、遺書を書(描)かないのはおかしなことである。まっさきに描くのは遺書である筈だった。
 だから、わたしは遺書として「私のいない世界」描こうと思う。はじめは、木版漫画にして「温水池」である。この6枚ほどの漫画には人の姿は出てこない。風景と、蛾がひとつ飛んでいるばかりである。遺書であるから、ひと目は気にせずにいようと思っている。
 冊子「唐傘奇譚」の制作は表紙の選定と印刷方法で難渋している。特別版のオリジナル木版画(3種類)の手刷り印刷50枚は終った。これは難儀な仕事で、肩が凝って仕方がない。小康状態になっていた歯痛もぶりかえした恰好である。