「羅生門」版下原稿完成

 午前1時前、曇天。気温摂氏14度。部屋の中は17度ある。蒲団のなかに足を入れていれば寒くない。そう云う恰好で、この日記を書いている。
 木版漫画「羅生門」の版下制作は終了した。そして、B5判冊子用の版下制作も終了した。これで、一旦は、肩の荷がおりた形である。あとは「羅生門」が雑誌掲載されればと思うが、これは自力では如何ともしがたい。また、冊子制作は成り行きとしたい。以前のように、しゃにむにやっても疲れるだけなので、もう、できれば、できたでよしとして、できなければ、それも受け入れる。そう云うことにしたい。
 昨夜は、芥川龍之介著「俊寛」をすこし読んだ。若いときなら文章が頭のなかに入らずに、おなじ文章のところをぐるぐるしていたものだが、いまはちがう。ちり紙に水が沁みてゆくように文章が頭に入ってゆく。併し、こころの深いところまでは届かないようである。しっかり感じ取ることはできない。
 また檀一雄著「小説 坂口安吾」をすこし読んだ。こちらは、文章も、檀氏の息遣いも感得できた。安吾の姿が浮かび上がってくるようである。近頃は、わたしは生活に疲れ、創作にも行き詰まりを感じていた。併し、この本をすこし読んだだけで元気になっていった。