続・寒い朝

 午前2時半すぎ、晴天、気温摂氏2度。マイナス温度ではないが、やはり、寒いことは、寒い。薄着だと、外には5分と立っていられない。夜型生活を朝型生活に変えようとしているが、うまくゆかない。まだ深夜をうろうろしている。
 木版漫画「羅生門」のトレペ写しは34枚完了して、今は、また以前のように彫版を進めている。見開きのページの2枚目、3枚目の雨版を彫っているが、これが以前のときのように遅々として作業が進まない。ひとつには、雨を表現するのに細い線を延々と彫ってゆくと云う極めて単調な作業のこともあるが、その雨版がページいっぱいに広がっている大コマなので、謂わば細かい文字を彫る印鑑彫りを何百本もやっているに等しいことになっている。自ら望んで始めたことではあるが、木版漫画はたいへんな仕事であると300枚以上の版木を彫ってきて、始めて実感している。この雨版の2版重ねる方法は、結局ひとコマに3版の彫版が必要で、絵に雨を降らせることは実際の雨降りの難儀どころではなく、たいへんに難儀である。併し、難儀ではあるが、手をかけた料理が、手をかければ、手をかけただけ美味しくなるように、この木版漫画も美味しいものになっていればと、そればかりを願っている。