習字の日々

 午後4時前、晴天。この頃は、まったく以て習字の毎日である。何を、いったいそんなに習う必要があるのかと云うと、私にも判然としない。併し、俳句などを詠んでいると、やはり、紙などに書き留めておきたいと思いだす。はじめは極めて安価な学生用の習字半紙を相手に墨書していたが、だんだんに学生用では物足りない気がして書道用の手漉きの紙を入手した。併し、この紙も薄手で、紙質が楮や雁皮を使用したものではなく高級品とは言いにくい。また併し、満足ゆく文字が書けるわけではないので中等品が似合いかもしれない。またまた併し、墨書した紙は、結局のところ人手に渡らせたいので、やはり中等品では困るだろう。ひとに渡すのに中等品で妥協していては良くない。そして、文字書きもうまくなりたいと思う。

▲「何處へゆく わたし」は私の未刊句集「焦眉の風」のなかの一句。
 先日、近所を散歩していたら白梅が咲いていたので写真を撮った。そして、一句。〈鐵斎の 書の如くなり 古白梅 青き空にて おぼろ昼月〉である。「鐵斎」を「龍鱗」としてもいいが、ここは鐵斎としておく。「鐵斎の書」とは、ゴツゴツと掠れた雄渾の筆致を思い、梅の古木の木肌を表現してみた。梅の木の黒い影と、青い空と、白く朧に小さく浮かんだ昼の月が印象的であった。

▲梅の木は毎年のように剪定されて枝が太くうねっている。