稲田の景色は・・・

 午後3時過ぎ、曇天。気温摂氏23度。早朝は寒いが、昼あたたか。
 介護生活三週間。足腰のわるい母は、すこし、呆けてもいた。母は言う。82にもなれば呆けもする、もう歳だ。併し、母の年齢は、今年84歳で、来春には85になる。今日は何日か、と頻繁に訊き、今日は土曜日かと、木曜日に訊いてくる。母は曜日も日にちも関係のない生活をしているが、やたらと訊きたがる。鬱陶しいことこの上ない。それに、やたらと他人のことをとやかく言うひとになった。昔は、そんなひとではなかったが、これも病気のなせるわざかと訝しく思う。そして、よく忘れる。さっき自分がしていたことを忘れ、今日は昼飯を食べたかと、食べた直後に訊いてくる。私のことも、何かにつけいちいち言うようになった。昼時、私がコーヒーを飲んでいると、そんなものばかり飲んでご飯を食べないと軀にわるいと言ってきた。併し、私のコーヒーは食後のもので、今さっき母に、私はラーメンを食べ旨かったと言ったばかりで、一分間もしないうちに忘れ、私の軀を気遣うのであった。・・・呆けても、母は母なのである。
 外に出ると、黄金色の稲田がひろがっていて、気持ちがすっきりする。