部屋そうじ

 午後5時すぎ、雨天。気温摂氏12度。随分寒い気がする。玄関よこに植えてある木賊にまざって雑草が生い茂っていたので、それらを抜き、それから庭に出してあったゴムの鉢植えを部屋の中にいれた。
 先日、部屋の掃除をしていたら気分がよくなって、本棚の上の、物の奥に仕舞われて何年も経っていた脇息を出した。これは時代物で、杉板で作られたもので、所謂、大名の殿様が肘をあてるものとはちがい、民間の、それこそ宿場でつかわれていたかと思われる簡易なものである。併し、長年使われてきたものらしく杉板は飴色に輝いて味わい深いものになっている。私は、何故かこれに尋常ならざる愛着をもっている。自分でも理由は判らないが、生涯手放したくない気持ちがつよい。元来私は物に執着することが極めて希薄で、これは私の欠点であると常々考えているが、まあ、今度の、この脇息に関しては例外と言えそうである。