太宰治の墓

 午前9時半すぎ。曇天、気温摂氏24度。今日も暑い。昨日は午後から三鷹に電車に乗り、マキコとふたりして太宰治の墓の在る禅林寺へ行った。雨になると云うことであったが、いくら経っても雨は降らずじまいで、日差しの暑い午後であった。
 JR三鷹駅から禅林寺までは、一本道をまっすぐ行くだけのつまらない道程であった。これは過去にも歩いた道であったが、やはり何の感興もない退屈な道である。
 禅林寺は大きい寺院である。それだけである。墓地にゆくと太宰の墓だけ桜桃忌で墓参をした人たちの花や線香やらの供え物がたくさんあった。併し、私には、それらを見て何の興味もなかった。墓参前とあとでは、こうも気持ちがちがうものかと訝しいほどである。私たちはつまらない気持ちのまま、まっすぐな道を戻って電車に乗った。
 私は約20年のあいだに何かを失っていた。太宰の墓は20年前も今もかわらない筈であった。併し、私はかわってしまったようだ。